幾多のイノベーションが更に求められる / by Milton Coffee Roastery

オーナーレター 01.September.2018-30.September.2018.jpg

イノベーションと聞くと何を想像しますか。 簡単に言ってしまえば、新しい物の創出、導入と言えるかと思います。 長らく新たな手法が取られていない分野に浸かっている人にとっては、今のような超高速で時代が進んでいる様子はある種の恐怖を覚えるではないでしょうか。 恐怖心さえ感じず、時代に流されて生活している人も多いかもしれません。

ミルトンが関わるコーヒー産地の生産者達にも同じことが言えます。新たなコーヒーの病気が長年続き、コーヒーの市場価格は大暴落、新たな品種が毎年生まれ、消費者に気にいってもらうために、それらの品種を植え、収穫後の処理方法も話題のものを試しながら、少しでも自分の作るコーヒーの価格が上がるように努力をし、同時に収穫高を増やすことも考えながら、作業員の確保に翻弄される日々。 インターネットの普及が更に時代のスピード感をアップさせているのは間違いありません。

エルポルベニール農園のセルヒオさんも、翻弄されている一人で、既にいくつか所有していた農園や家を売却しないと銀行への返済が出来ない事態に陥っているわけです。 この二年余りは特に苦しい胸の内を話してくれます。 では彼はイノベーション力が足りないのでしょうか。

私の中では彼はむしろイノベーディブな農園主だと言えます。 ニカラグア初の生産処理方法を導入したり、生産量増加を図りながら、高い品質を同時に求めたり、有機肥料の可能性を突き詰めていったり、汚水対策をはじめとする環境対策に真剣に取り組んだりしています。 それでも報われないときが発生し、こんなに好きで情熱を持ってやっているコーヒー農園を続けていくべきか悩むほどです。

先日、日本のイノベーションに関する国際競争力が上位から下位に順位を落としているという記事が目に留まりました。 私の体感でもそれは強く感じています。 さらには、海外の知人らが日本を訪れた際に私に話してくれる時も、かつての日本にあった何もかもが目新しく、先進的で創造力に溢れている状況が、今や消え失せてしまっていると言われるのです。

人真似をしていれば良かった戦前戦後の時代は既にに終わり、未だに日本人は世界と比べて最先端をいっていると錯覚している人も多いはず。 洞察力や創造力、先見性などが育まれないまま数十年過ぎてしまい、ハングリー精神も物に溢れた日本では養われないわけですから、野心家の多い海外勢にありとあらゆる分野で負けてしまうのは必然としか言いようがありません。

ニカラグアのセルヒオさんは、ハングリーです。 バリ島の使用人として働く若者達もハングリーです。 香港の高校時代の友達もみんなハングリーです。 ハングリーだから、なにくそ根性が生まれ、改善したいから創造力が生まれ、そしてイノベーションに繋がるわけです。

世界中の人がハングリーな中、ひとつのイノベーションだけでは成功しにくくなっている事も感じますし、同時進行で幾多のイノベーションを実行させている海外の人達と会うたびに、豊かなはずの日本が、不安要素が目立つ国に見えてくるのはどうしてでしょうか。