スペシャルティコーヒーはどこに向かっているの? / by Milton Coffee Roastery

今日のトピックは、「多様性」。 英語で言うところの「ダイバーシティ」。 
ウィキペディアによると、”多様性(たようせい)とは、幅広く性質の異なる群が存在すること。性質に類似性のある群が形成される点が特徴で、単純に「いろいろある」こととは異なる。”とあります。

日常会話の中でそこまで頻繁に出てくる単語ではないので、なんだか難しいことのように聞こえますよね。 眠くなりそうな内容かもしれませんが、お付き合いくださいませ(^^)

さて、スペシャルティコーヒーと呼ばれるジャンルの中に身を置いている自分としても、この多様性を一つの重要な要素として捉えています。 美味しいコーヒーという枠の中で、バリスタなり、ロースターなり、産地では生産者達が創意工夫を凝らして、もっと美味しくしていこうと日々努力を重ねていると思います。 ミルトンも例外ではなく、どう焙煎したらより美味しくなるのか、豆のポテンシャルを100%活かしきれているのか、ありとあらゆる方法を考え出して経験値を積み上げていっています。 ドリンクにしても同じことが言え、「いや、まだより良い方法があるのではないか」と悩みながらも楽しみながら工夫を続けています。

冒頭の多様性を大事にしていると書きましたが、働くスタッフや個々の会社、カフェなどが独自路線で進み、独自で進むからこそ、他者や他店にはない良さが導き出されると私は信じているわけです。 ただ、私自身が弱い人間なので、同業者の人たちと交わる機会が多いと、似てきてしまうんじゃないか・・・自分の信じている芯がぶれてしまうんじゃないか・・・と不安がよぎっていましたが、そう考えていたのは起業してから数年の間で、今では自分で課題を作っては解決していくことが楽しみとなってしまった為、良い意味で同業他社が気にならなくなってきました。 正に、独自で進み、オリジナリティを自己から生み出していく楽しみを覚えたのです。 

こうした独自路線で発展していくことで、多様性って進化していくんじゃないかなと思っていますし、自分がお客だったらそれぞれのお店で「へぇ~、そういう発想もあるんだ!」と、面白がると思うんです。 それが、どこも似たり寄ったりの品ぞろえや、似たような接客スタイル、明らかに流行りのお店のマネをしているような店内インテリアだったりすると、特定のお店に行く価値がなくなると考えるのは、私だけでしょうか。 チェーン店でいいじゃない、と思えてくると思うんです。 多様化ではなく、その反対の画一化です。

少なくとも最近はコーヒー業界の中の様々なところで、画一化が進んでいるのではないかと、勝手に心配しています。 

そもそも、私がスペシャルティコーヒーと呼ばれるコーヒーに興味を持ったのは、そのクリーンで風味豊かな味と質です。 しかも個々の農園や品種によっても味が違うことに驚き、じゃぁ~今までのモカ・・・とか、キリマンジャロ・・・とかのコーヒーは一体全体何だったの?となったわけです。 知れば知るほど多様性があって、「こりゃ勉強しがいがあるわ!」と興味津々になったものです。

同じコーヒーと呼ばれながら、スペシャルティコーヒーには驚くほど多くの「風味」が存在し、またそれが自然のもたらした味に加え、収穫後の人の手によっても味が変化するなんて!と、とても興味を持ちました。 それらの生豆を焙煎によって飲めるコーヒー豆に加工する方法も様々で、口に入る直前の作業である抽出でも味は劇的に変化してくれます。

このほぼ「何でもありの世界観」が小さいころから決められた枠の中で生きていたくない私には、ドンピチャリの考え方だったことが今も楽しく仕事が出来ている理由の一つでもあります。 人が右進んだら、左に行きたがるヒネクレ者だから、仕方ありません。

・・・余談ですがミルトンでは、「お客様に喜んでもらえて、農家さんも喜んでくれて、働く自分たちが満足しながら会社の繁栄に貢献できるなら、何やっていいよ」と言っています。 何やってもいいんです。 一度や二度ではなく、口癖のようにスタッフには言っています。 枠にとらわれない、個々の自然な能力を引き出してほしいという願いからの口癖なのです。・・・

話は戻りますが、

では多様性、多様性とうたってきたスペシャルティコーヒーの何が画一的になってきているのか・・・ それは先にも話した独自路線の話とかぶりますが、もう少し幅を広げると生産国と消費国の両方で今でも同時進行しているように感じます。 

消費国ではサードウェーブという名称がメディアでも頻繁に使われ、グローバル化とインターネットの普及で各国のコーヒー産業と、関係者の個人同士の距離がとても近くなったことは、誰もが感じていることでしょう。 世界中のバリスタやロースターが情報交換をしたり、世界大会を目指したりすることは、とても有意義に感じますし、何より楽しいと思います。 情報を公にすることで、情報の透明性も出ますし、企業であればそれが消費者に対する信頼にも繋がるでしょう。 公開された情報を元に、皆で検証しあうことも良いことだと思います。あくまで検証のレベルなら良いと思いますが、そのまま流用してしまえば何も独自性はありません。

産地では、どんな動きが出てきていると思いますか? バリスタに注目される品種が出てくると、生産国ではこぞって人気の品種を植え始めます。 バリスタ選手権などで一躍有名になった品種や、ネットオークションで連続して高値を付けたような品種であれば、生産者もその品種を植えてみたいという気持ちにかられるのは、至って自然な流れだと思います。もともと育てていた品種を伐採し、その土地に適しているかどうかの検証もされぬまま作付する農家も少なくありません。 資本がある農家であればあるほど、その傾向は見られるように思います。 これって、その土地の独自のものではなくなってしまっていますよね。 多様性が薄れてしまうような気がして、産地への買付けをしていても、やや複雑な気分になる部分でもあります。

このコーヒー業界自体が多様性を謳えば謳うほど、画一化に向かってしまうのではないかなと思っています。 多様性を謳うのは業界側ではなく、実は消費者側やメディアがそれを求める方が私は本来のコーヒーの多様性が活性化され、それぞれの国で独自の品種や生産処理がなされ、消費国ではそれぞれのロースターの違いが強調され、消費者から良い意味で面白がられ、同業者同士刺激になるのではないかと考えています。 

スペシャルティコーヒーを取り扱っていないコーヒー焙煎屋の中にも、独自の道を徹底しているお店があり、芯もぶれていないから、お客様もそこに魅力を感じて今でも大勢のファンがついている。 とても素敵だと思います。 私はどんな呼び名のコーヒーであれ、最終的には美味しいコーヒーを飲んで頂きたいために、独自路線でこのまま突き進もうと思います。 全国的には無名であっても、ハイレベルな仕事をしていきたいですね。 そして、折角始めたコーヒーの仕事ですし、スペシャルティコーヒーからみた多様性をこれからも求めていきたいと思います。

長々書きましたが、やや思いをぶつけた文章だったので、読みにくかったかもしれませんね。 これに懲りずに、また読んでください。